災害時の通信を考えるとき、「安い回線に変えると、いざというときに困るのでは」という不安はよく聞きます。ahamoはNTTドコモが提供する料金プランで、月額2,970円(税込)と、いわゆるキャリアの標準的なプランより安く設定されています。
では、災害時の機能はどこまで使えるのでしょうか。衛星通信・災害用伝言板・緊急速報エリアメールの3点を軸に、公式情報で確認できた範囲を整理します。できないこともあわせて書きます。
この記事は特定のプランをすすめるものではありません。契約前に必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
先に結論#
| 災害時の機能 | ahamoでの扱い |
|---|---|
| docomo Starlink Direct(衛星通信) | 対象。追加料金なし・申し込み不要 |
| 衛星経由の音声通話 | できない(テキストや位置情報の送受信が中心) |
| 災害用伝言板 | 利用できる |
| 緊急速報エリアメール | 対象機種なら対応 |
| ドコモショップでの手続きサポート | 有料(3,300円・税込) |
災害時の基本機能は押さえられている一方、サポートを店頭で受けると有料という点が、契約前に知っておくべき最大の違いです。
1. 圏外でも衛星につながる(docomo Starlink Direct)#
NTTドコモは、Starlink衛星とスマートフォンが直接通信する「docomo Starlink Direct」を2026年4月27日から提供しています。
提供開始のニュースリリースには、対象について次のように明記されています。
「ahamo」を含む全ての料金プランをご契約のお客さま
つまりahamoでも対象です。当面無料で、申し込みも不要とされています。山間部や離島など、これまで電波が届かなかった場所で通信できる可能性があります。
できること・できないこと#
公式に案内されているのは次の範囲です。
- テキストメッセージの送受信
- 位置情報の送受信
- 緊急地震速報の受信
- 対応アプリでのデータ通信
一方で、音声通話はできません。これは重要な制約です。衛星につながっても110番・119番に「電話をかける」ことはできない、と理解しておく必要があります。
ahamoならではの注意点#
ドコモの公式サイトには、「ahamo以外の料金プラン」を契約している人には最新ソフトウェアへのアップデートも無料でサポートする、という記載があります。裏を返すと、ahamoはこの店頭サポートの対象外です。
衛星通信は端末が最新ソフトウェアであることが前提になるため、自分でアップデートを済ませておく必要があります。いざというときに備えるなら、平常時に確認しておくのが現実的です。
各社の衛星サービスを横並びで比べたい場合は、LINEの衛星モードは格安SIMで使える?キャリア別の対応状況まとめで整理しています。ahamoと同じ立ち位置のソフトバンク系については、LINEMOの衛星通信が2026年9月1日から実質無料ににまとめました。ソフトバンク回線のワイモバイルについてはワイモバイルは災害時に強い?で同じ観点から整理しています。
2. 災害用伝言板は使える#
ahamoの公式FAQには「ahamoで災害用伝言板をご利用いただけます」と記載されています。大規模な災害が発生したときにahamoサイトのトップページに導線が表示される、という案内です。
災害用伝言板は契約先によって使えたり使えなかったりします。ahamoは使える側です。各社の違いと具体的な使い方は携帯4社の災害用伝言板の使い方にまとめています。
3. 緊急速報エリアメールも対象機種なら届く#
公式FAQには「対象機種をご利用の場合は、ahamoでも対応しています」と記載されています。緊急地震速報や津波警報などを受け取れます。
ここは格安SIMだと事情が変わることがあるため、他社を検討している場合は格安SIMでも緊急速報メールは受信できるかもあわせてご確認ください。
料金はいくらか#
税込表示で整理します。
| 項目 | 料金(税込) | 内容 |
|---|---|---|
| 基本プラン | 2,970円/月 | 30GB+国内通話5分/回無料 |
| 大盛りオプション | +1,980円/月 | 80GB追加(合計110GB・4,950円/月) |
| かけ放題オプション | +1,100円/月 | 国内通話24時間無料 |
5分を超えた通話は30秒ごとに22円(税込)です。データを使い切ったあとは通信速度が最大1Mbpsに制限されます。完全に止まるわけではありませんが、災害時に動画や大きな添付ファイルを扱うのは厳しくなります。
災害時にデータ容量が尽きたときの対処は災害時にデータ容量が尽きたらで別途整理しています。
契約前に知っておきたい制約#
広告的な良い面だけでは判断できないので、制約も書きます。
ドコモショップでのサポートは有料#
ahamoは申し込みも手続きもオンラインが基本です。ドコモショップで手伝ってもらうことはできますが、有料です。povo2.0・LINEMOも含めた3社の店頭対応の違いはpovo・ahamo・LINEMOは災害時に「店に駆け込む」ができないに整理しました。
公式FAQに記載されている金額は次のとおりです。
- ahamo WEBお申込みサポート:3,300円(税込)
- ahamo WEBお手続きサポート:3,300円(税込)
複数の手続きをまとめて行った場合も1回3,300円(税込)とされています。また、端末の操作は自分で行う必要があり、スタッフは操作の案内をする立場です。
災害後は店頭が混雑したり営業できなかったりします。「困ったら店に行けばいい」を前提にしない備えが要る、という点は現実的に押さえておきたいところです。
ドコモのメールアドレスは有料で引き継ぐ#
@docomo.ne.jp を使い続けたい場合は「ドコモメール持ち運びサービス」への加入が必要で、月額330円(税込) です。
海外は追加料金なしだが15日を超えると厳しい#
海外でも申し込みなしでデータ通信を使えます。公式に記載されている条件は次のとおりです。
- 対応は91の国・地域
- 追加料金は不要(国内利用と合わせて30GBまで)
- 30GBを超えると最大1Mbps
- 15日を超えて海外で利用すると最大128kbpsに制限
15日を超えたときの制限は、データを追加購入しても解除されないと案内されています。長期の滞在では別の手段が要ります。詳しくは海外でスマホを使う3つの手段で比較しています。
どんな人に向くか#
向いていると考えられる場合
- ドコモ回線のエリアで使いたいが、料金は抑えたい
- 手続きをオンラインで完結させることに抵抗がない
- 平常時に自分で端末のソフトウェア更新ができる
慎重に検討したほうがよい場合
- 対面のサポートを前提にしたい(店頭は1回3,300円・税込)
- 月に110GBを超えるデータを使う
- 15日を超える海外滞在が多い
なお、災害対策は回線を1本選んで終わりではありません。メイン回線をどこにするかとは別に、安価なサブ回線を1本持っておく考え方もあります。維持費の比較は災害用サブ回線は月いくらで維持できるか、回線元の違いは格安SIMの「回線元」一覧にまとめています。
まとめ#
- ahamoはdocomo Starlink Directの対象で、追加料金なし・申し込み不要で使える
- ただし衛星経由で音声通話はできない。テキストや位置情報が中心
- ahamoは店頭での無料ソフトウェア更新サポートの対象外。自分で更新しておく
- 災害用伝言板・緊急速報エリアメールは利用できる
- ドコモショップでのサポートは1回3,300円(税込)
- 料金は30GBで月2,970円(税込)、大盛りで110GB・月4,950円(税込)
災害時の備えとしては、回線の選択に加えて災害時の連絡手段まとめにある手段を組み合わせておくほうが確実です。