ワイモバイルはソフトバンクが提供するブランドで、回線もソフトバンクの電波を使います。料金を抑えつつ店舗でも相談できるため、大手キャリアから乗り換える人が多い選択肢です。

では、災害時の機能はどこまで使えるのでしょうか。衛星通信・災害用伝言板・緊急速報メールの3点を軸に、ワイモバイル公式サイトで確認できた範囲を整理します。できないこともあわせて書きます。

この記事は特定のプランをすすめるものではありません。契約前に必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。

先に結論#

災害時の機能ワイモバイルでの扱い
SoftBank Starlink Direct(衛星通信)シンプル/シンプル2/シンプル3は追加料金なし・申し込み不要
同上(スマホプラン・4G-Sプラン)2026年7月1日10時以降は月額1,650円(税込)のオプション申し込みが必要
衛星経由の音声通話・緊急通報できない
災害用伝言板利用できる(申込不要・月額無料)
緊急速報メール対応機種なら受信できる(申込不要・月額無料)

いちばん大きな分かれ目は契約しているプランです。同じワイモバイルでも、シンプル系かどうかで衛星通信の扱いが変わります。

ソフトバンクは、Starlink衛星とスマートフォンが直接通信する「SoftBank Starlink Direct」を2026年4月10日から提供しています。ワイモバイルの公式ページでは、対象プランと料金が次のように案内されています。

プラン扱い
シンプル/シンプル2/シンプル3追加料金なし。申込不要
スマホプラン(ベーシック含む)/4G-Sプラン(ベーシック含む)2026年6月30日までは申し込み不要・追加料金なし。2026年7月1日10時以降は「SoftBank Starlink Direct オプション」月額料1,650円(税込)の申し込みが必要

旧プランの人がオプションに申し込まない場合、公式ページには「2026年7月1日10時以降、順次サービスがご利用いただけなくなります」と書かれています。7月以前に「無料で使える」と聞いて安心していた人は、いまの契約プランを確認しておく必要があります。

なお、現在新規受付中の料金プランはシンプル3のみとされています。

大規模災害時は、オプションなしでも提供される場合がある#

公式ページの注記には、大規模な災害や通信障害で地上の電波が受信できない事態が起きた場合、オプションの申し込みがなくても本サービスを提供する場合がある、と書かれています。その場合の料金は基本使用料に含まれ、別途請求はしないとされています。

ただし「提供する場合がある」という書き方で、機能や内容が制限・変更される場合があるとも明記されています。旧プランのまま、これを当てにするのはおすすめできません。確実に使いたいなら、プランかオプションで対象になっておくほうが確実です。

できること・できないこと#

公式ページの機能一覧で確認できた範囲は次のとおりです。

機能衛星経由で
テキストメッセージ(SMS・MMS・RCS、国際SMS)○
データ通信○(一部の対象アプリのみ)
緊急地震速報・津波警報○
災害・避難情報○(国民保護情報のみ)
音声通話×
緊急通報(110番・119番など)×
転送電話・留守番電話×

衛星につながっても、110番・119番に電話をかけることはできません。ここは誤解が多いところです。圏外で通報が必要な状況への備えは格安SIMで110番・119番はかけられる?で別に整理しています。

また、衛星経由のデータ通信(MMS・RCSの送受信を含む)はデータ量を消費しないと明記されています。データ容量を使い切っていても、衛星経由のメッセージは容量の心配をしなくてよいということです。

使える場所・使えない場所#

公式ページの利用条件は、次のように整理できます。

  • 使える:国内の屋外で、地上のソフトバンクの電波が届かない圏外エリア。衛星との間に遮蔽物がない場所
  • 使えない:建物の中、地下、トンネル内
  • 使えない(または不安定):建物の密集地、車内、樹木の密集地など、衛星との見通しが確保できない場所
  • Wi-Fi接続中は利用できない
  • 動画視聴や大容量通信には対応していない

さらに、災害発生時などで輻輳した場合、衛星マークが表示されていても接続されないことがあるとも案内されています。衛星通信は「最後の手段のひとつ」であって、つながることを前提にした連絡計画は立てないほうが安全です。

事前にやっておくこと#

公式ページの設定手順をもとにすると、平常時にやっておくことは次の4つです。

  1. OSを最新にする(iPhoneはiOS 26.4以上、AndroidはAndroid 15以上が必要と案内されています)
  2. 位置情報サービスをオンにする
  3. iPhoneは「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信のオプション」で「衛星通信」がオンになっているか確認する
  4. AndroidはデフォルトのSMSアプリを「Googleメッセージ」にする

デュアルSIMで使っている場合、iPhoneは「モバイル通信」→「SIM一覧」でワイモバイルの回線を選んでから衛星通信をオンにする手順です。

対応機種は限られる#

公式ページには2026年4月10日時点の対応端末が掲載されています。iPhoneはiPhone 13・14・15・16・16e・17e、AndroidはGoogle Pixel 9a/10a、AQUOS wish3〜6、OPPO Reno13 Aなどが並んでいます。

ただし、Android機種の一部はテキストのみ対応で、アプリのデータ通信は「×」と表示されています。同じ「対応機種」でもできることが違うため、自分の機種の欄を公式ページで確認しておいてください。

iPhoneの衛星機能は、キャリアの衛星サービスとは別にApple独自の機能もあります。違いはiPhoneの衛星機能は格安SIMでも使える?にまとめています。

2. 災害用伝言板は使える#

ワイモバイルの災害用伝言板サービスは、申込不要・月額無料です(自動Eメールの受信にはパケット通信料がかかります)。公式ページの仕様は次のとおりです。

項目内容
提供される条件震度6弱以上の地震など大規模な災害が発生した場合
登録できる状態「無事です」「自宅にいます」「被害があります」「避難所にいます」「移動中です」「会社にいます」「学校にいます」から選択
コメント全角100文字まで
登録件数1電話番号あたり80件(超えると古いものから上書き削除)
確認できる人他社の携帯電話やパソコンからも、インターネットで誰でも確認できる
自動Eメール送信登録時に、あらかじめ設定した宛先(10件まで)へ自動でメールを送れる

自動Eメール送信の宛先は、災害時でなくても設定できるとされています。家族のメールアドレスを平常時に登録しておけば、災害時は伝言板に登録するだけで家族に知らせが届きます。

登録と自動Eメール機能の利用には、ワイモバイルの契約が必要です。iPhoneは災害用伝言板アプリをApp Storeからダウンロードして使う形です。

衛星経由だと使えない機能がある#

見落としやすいのがここです。公式ページには、SoftBank Starlink Direct経由で災害用伝言板を使う場合、次の機能は利用できないと書かれています。

  • NTTドコモ/au/楽天モバイルから登録された安否情報の参照
  • NTT東西の伝言板(web171)
  • Googleパーソンファインダー

つまり、圏外から衛星経由で伝言板を開いても、家族がドコモやauを使っていると、その家族の登録は見られないということです。家族で契約先が分かれている場合は、家族の安否確認ルールの決め方にあるように「どこに書き込むか」を先に決めておくと迷いません。

また、ワイモバイルは毎月1日・15日、正月三が日、防災週間(8月30日〜9月5日)などに体験サービスを提供しています。一度登録を試しておくと、本番で手が止まりにくくなります。各社の伝言板の違いは携帯4社の災害用伝言板の使い方で整理しています。

3. 緊急速報メールも対応機種なら届く#

ワイモバイルの緊急速報メールは、気象庁の「緊急地震速報」「津波警報」と、国や地方公共団体の「災害・避難情報」を配信するサービスで、申込不要・月額無料です。

公式ページで注意として挙げられているのは次の点です。

  • 端末の電源を切っているとき、緊急速報メールの機能をOFFにしているときは受信できない
  • 通話中、データ通信中、電波状態が悪い場所では受信できない場合がある
  • 緊急地震速報でも、揺れより早く必ず受信できるとは限らない

なお、公式ページの対応機種一覧はワイモバイルで販売した製品のみを掲載したものです。他社で買った端末やSIMフリー端末で使う場合は、端末側の対応を確認してください。考え方は格安SIMでも緊急速報メールは受信できる?で説明しています。

また、大雨の特別警報は、気象庁からの緊急速報メールでは配信されなくなっています(ワイモバイルの公式ページにも、2022年12月26日14時をもって気象庁からの配信は終了し、地方公共団体による配信対象項目に変わったと記載があります)。詳しくは大雨の特別警報はスマホに鳴らないことがあるをご覧ください。

料金はいくらか#

現在新規受付中のシンプル3の月額基本使用料(割引適用前・税込)は、公式の料金ページで次のように表示されています。

プランデータ容量月額基本使用料(税込)
シンプル3 S5GB3,278円
シンプル3 M30GB4,378円
シンプル3 L35GB5,478円

家族割引や光回線とのセット割、PayPayカード割などで下がる仕組みですが、条件によって変わるため、ここでは割引前の金額を載せています。国内通話は30秒につき22円です。

災害時に効いてくるのは、データ容量を使い切ったあとの速度です。公式ページの注記では、容量を超えるとシンプル3 Sは最大300kbps、M/Lは最大1Mbpsに低速化され、さらに規定容量の半分(S:2.5GB、M:15GB、L:17.5GB)を超えて使うと最大128kbpsに下がるとされています。月末の災害で容量が残っていないと、地図や情報サイトを開くのも厳しくなります。対策は災害時にデータ容量が尽きたらで整理しています。

契約前に知っておきたい制約#

店頭で頼めるが、OSアップデートなどは有料メニュー#

ワイモバイルはショップで相談できるのが強みですが、店頭での設定サポートは有料メニューが用意されています。公式の「店頭スマホサポート」ページでは、「設定等・操作案内」が1件1,100円(税込)で、その対象項目に「OSアップデート」が含まれています。月額制の「店頭スマホサポート定額」(フルプラン月額990円/ライトプラン月額550円)もあります。

衛星通信はOSが最新であることが前提です。災害後は店舗が混雑したり営業できなかったりするので、アップデートは平常時に自分で済ませておくのが現実的です。

回線はソフトバンクと同じ#

ワイモバイルはソフトバンクの電波を使っています。ソフトバンクの基地局が停電や故障で止まれば、ワイモバイルも同じ影響を受けます。ソフトバンクやLINEMOをサブ回線にしても、回線の分散にはなりません。

別の回線網で予備を持ちたい場合は、格安SIMの「回線元」一覧でドコモ系・au系・楽天の選択肢を確認できます。維持費の比較は災害用サブ回線は月いくらで維持できる?にまとめています。

大規模災害で他社の回線を借りられる「JAPANローミング」については、JAPANローミングは実際に発動したで熊本地震での提供内容を整理しています。

他社のブランドと比べると#

衛星通信の扱いを、似た立ち位置のブランドと並べると次のとおりです(各記事の確認時点の情報)。

ブランド衛星通信
ワイモバイル シンプル系追加料金なし・申し込み不要
ワイモバイル スマホプラン・4G-Sプラン月額1,650円のオプションが必要
ahamo追加料金なし・申し込み不要(ahamoは災害時に強い?)
LINEMO ベストプラン系オプション申し込みは必要だが実質0円(LINEMOの衛星通信が実質無料に/LINEMOは災害時に強い?)
UQ mobile・povo2.0など別途「au Starlink Direct専用プラン+」に加入(UQ mobileは災害時に強い?/LINEの衛星モードは格安SIMで使える?)
楽天モバイル独自サービスは開始前。iPhone 14以降はAppleの衛星経由SMSに対応(楽天モバイルは災害時に強い?)

今日やること#

  • My Y!mobileで自分の料金プラン名を確認する(シンプル系か、スマホプラン・4G-Sプランか)
  • スマホプラン・4G-Sプランなら、衛星通信を使いたいかどうか決める(使うならオプション申し込みか、シンプル3への変更を検討)
  • OSを最新にする(iOS 26.4以上/Android 15以上)
  • 位置情報サービスと「衛星通信」のオンを確認する
  • 災害用伝言板の自動Eメール送信の宛先に家族を登録しておく
  • 家族と「伝言板は誰の契約先に書くか」を決めておく

まとめ#

  • ワイモバイルのシンプル/シンプル2/シンプル3はSoftBank Starlink Directが追加料金なし・申し込み不要
  • スマホプラン・4G-Sプランは2026年7月1日10時以降、月額1,650円(税込)のオプション申し込みが必要
  • 衛星経由では音声通話・110番/119番はできない。テキスト、一部アプリのデータ通信、緊急地震速報などが中心
  • 災害用伝言板は申込不要・無料。ただし衛星経由ではドコモ・au・楽天の登録やweb171を参照できない
  • 緊急速報メールは申込不要・無料。対応機種一覧はワイモバイル販売端末のみの掲載
  • 回線はソフトバンクと同じ。予備回線は別の回線網で持つ

回線の選択に加えて、災害時の連絡手段まとめにある手段を組み合わせておくと、どれか1つが使えなくても連絡の道が残ります。