災害や通信障害に備えて回線をもう1本持つ、という話になったとき、次に出てくるのが「で、月いくらかかるの」という疑問だと思います。

普段はほとんど使わない回線なので、維持費が高いと続きません。一方で、安さだけで選ぶといざというときに使えない回線を持つことになります。

先に結論です。

  • 月額だけなら、povo2.0が最安(基本料0円。ただし180日ごとの課金が必要で年500円程度)
  • 定額で持つなら mineo「マイそく スーパーライト」250円HISモバイル 280円〜日本通信 290円(いずれも税込)
  • ただし HISモバイル・日本通信はドコモ回線のみ。メインがドコモ系なら備えにならない
  • 初期費用(多くは3,300円)を含めた1年目のコストで比べないと判断を誤る
  • 「安い=遅い」のは事実。32kbpsの回線で何ができるかを理解したうえで選ぶ

順に見ていきます。

その前に:月額より先に「回線元」を確認する

比較表に入る前に、この記事でいちばん強調したい点です。

サブ回線を持つ目的は、メイン回線が使えなくなったときの逃げ道を作ることです。したがって、メイン回線と同じ電波を使う回線を選んでも意味が薄くなります

たとえばメインがドコモやahamoの人が、ドコモ回線の格安SIMをサブに選んだ場合、ドコモのネットワークが落ちれば2本とも同時に沈みます。会社名が違っても電波の出どころは同じだからです。

どの格安SIMがどの回線網を使っているかは、格安SIMの「回線元」一覧|災害用のサブ回線は別の回線網で持つにまとめました。先にこちらで自分のメイン回線の系統を確認してから、下の表を見てください。

比較表:月額・回線元・初期費用(2026年8月17日時点)

各社の公式ページで確認した金額です。すべて税込です。

サービス最安の月額その内容回線元初期費用
povo2.00円(基本料)トッピング未購入時はデータ通信なし。180日ごとに課金が必要au0円(一定条件を除く)
mineo マイそく スーパーライト250円データ通信は常時最大32kbps、容量無制限ドコモ/au/ソフトバンクから選択3,300円+発行料440円
HISモバイル 自由自在2.0280円月のデータ利用が100MB未満の場合ドコモ3,300円
日本通信 合理的シンプル290290円1GB込み。超過分は1GBあたり220円ドコモ3,300円
IIJmio ギガプラン(データeSIM)440円2GB・データ通信のみ(ドコモ網)ドコモ3,300円+発行料220円
IIJmio ギガプラン(音声2GB)850円2GB・音声通話つきドコモ/auから選択3,300円+発行料433.4円〜446.6円
楽天モバイル Rakuten最強プラン1,078円月のデータ利用が3GBまでの場合楽天0円

表の見方で大事なのは、右の2列です。左の金額だけを見て選ぶと、メインと同じ回線網を引いてしまったり、初期費用で1年目が高くついたりします。

各サービスの中身を見る

povo2.0(au回線):月額は最安だが「完全0円」ではない

povo2.0は基本料0円で、契約事務手数料も原則かかりません。持つだけならコストがほぼゼロという点で、サブ回線としては有力です。

ただし公式には「最後の有料トッピングの有効期限の翌日から180日の間、有料トッピングのご購入がない場合、順次利用停止させていただきます」という条件があります。つまり放置し続けると止まります

常設トッピングで最も安いのは「データ使い放題(6時間)」の250円です。180日ごとに1回買えば条件を満たせるので、年2回で年間500円程度が現実的な維持費になります。

180日ルールの詳細と、止まるまでの流れはpovo2.0を災害用のサブ回線に:初期費用0円で持てるが「完全0円維持」はできないにまとめました。

注意点は、メインがau・UQモバイル・povoの人には備えにならないことです。この場合は下の選択肢を検討することになります。

mineo「マイそく スーパーライト」(250円):回線元を選べるのが強み

災害の備えという観点では、この記事の中でいちばん相性がよい選択肢だと考えています。理由は、契約時にドコモ(Dプラン)・au(Aプラン)・ソフトバンク(Sプラン)から回線を選べるためです。メイン回線が何であれ、必ず別系統を選べます。

料金と速度は、mineo公式の料金表では次のように案内されています。

コース月額最大通信速度
スーパーライト250円最大32kbps
ライト660円最大300kbps
スタンダード990円最大1.5Mbps
プレミアム2,200円最大5Mbps

マイそくは「速度で選ぶ」プランで、データ容量の上限はありません。そのかわり速度が固定されます。

注意したい制限が3つあります。

  1. 平日12時台は最大32kbps(プレミアムのみ最大200kbps)に制限される
  2. 直近3日間で10GB以上使うと、最大32kbpsに制限される場合がある
  3. スーパーライトは常時32kbpsなので、そもそも「速い時間帯」がない

32kbpsで何ができるかは、あとで別項に整理します。ここでは「通常のWeb閲覧や地図アプリを想定した速度ではない」とだけ押さえてください。

なお、mineoには24時間データ使い放題のオプション(198円/回)があり、必要なときだけ速度制限を外す使い方が案内されています。災害時にだけ課金するという運用ができるのは、サブ回線として実用的な性質です。

初期費用は契約事務手数料3,300円と、SIMカード発行料またはeSIMプロファイル発行料440円がかかります。

HISモバイル「自由自在2.0」(280円〜):使わなければ最安クラス

HISモバイルの自由自在2.0プランは、その月に使ったデータ量で月額が決まる段階制です。公式ページの金額は次のとおりです。

月のデータ利用量月額
100MB未満280円
1GB550円
3GB770円
7GB990円
10GB1,340円

普段まったく使わないサブ回線なら、多くの月は280円で収まる計算になります。通話料は30秒9円、データチャージは1GBあたり200円です。契約期間の縛りと解約違約金はないと案内されています。

弱点はドコモ回線のみという点です。メインがドコモ・ahamo・OCN モバイル ONEなどドコモ系の人には、備えとして機能しません。

日本通信「合理的シンプル290」(290円):1GB込みで定額

日本通信SIMの合理的シンプル290プランは、月額290円に1GBが含まれる構成です。1GBを超えた分は1GBあたり220円で、マイページから上限を1GB単位(最大100GB)で設定できると案内されています。通話料は30秒11円です。

**「使わなければ290円、いざというとき1GBはすぐ使える」**という形なので、災害用としては分かりやすい設計です。HISモバイルの280円と比べると10円高いかわりに、100MBを超えても即座に段階が上がるわけではありません。

事務手数料は3,300円(SIMカード・eSIM共通)。最低利用期間と解約金はないと明記されています。eSIMの発行手数料は年3回まで0円、4回目以降は1,100円です。

こちらもドコモ回線のみです。

IIJmio ギガプラン:回線を選べて、データ専用なら440円

IIJmioのギガプランは、タイプD(ドコモ網)とタイプA(au網)から選べます。公式Q&Aの料金表では、2GBの月額は次のとおりです。

SIMの種類2GBの月額
音声SIM/音声eSIM850円
SMS機能つきSIM820円
データ専用SIM740円
データeSIM(ドコモ網)440円

この料金表にはタイプD/タイプAの区分がなく、同額として掲載されています。

データeSIMの440円は、通信手段を確保するだけなら安い選択肢です。ただし音声通話ができないため、110番・119番への発信手段としては使えません。この点は格安SIMでも110番・119番はかけられる?とあわせて確認してください。

初期費用は1プランごとに3,300円。加えてSIMカード発行手数料(タイプD 433.4円/タイプA 446.6円)またはSIMプロファイル発行手数料(音声eSIMタイプD 433.4円、音声eSIMタイプA・データeSIM 220円)がかかります。

楽天モバイル:唯一の「4つ目の回線網」

楽天モバイルのRakuten最強プランは、データ利用量に応じた段階制です。

月のデータ利用量月額家族割適用時
3GBまで1,078円968円
3GB超〜20GBまで2,178円2,068円
20GB超〜無制限3,278円3,168円

契約事務手数料は0円と案内されています。

月額は他より高いのですが、楽天回線はドコモ・au・ソフトバンクのいずれとも独立した4つ目のネットワークです。3社系の格安SIMをいくつ並べても得られない冗長性がここにあります。

ただし注意点として、楽天モバイルには楽天回線エリアとは別に「パートナー回線エリア」があり、公式ページではパートナー回線エリア内ではau回線によるローミング接続が利用できると説明されています。自分の生活圏がどちらなのかによって、実質的な冗長性は変わります。エリアの確認方法は山・地方で圏外になりやすいのはなぜ?で触れています。

初期費用を入れると順位が変わる

月額だけで比べると差は数百円ですが、初期費用は3,300円前後です。1年目のコストで比べると印象が変わります。

以下は「その回線をほとんど使わなかった場合」の1年目の概算です。実際の請求とは異なる可能性があるため、目安として見てください。

サービス初期費用年間の月額合計(目安)1年目合計(目安)
povo2.00円500円(250円×2回)約500円
楽天モバイル0円12,936円(1,078円×12)約12,936円
mineo マイそく スーパーライト3,740円3,000円約6,740円
HISモバイル 自由自在2.03,300円3,360円(280円×12)約6,660円
日本通信 合理的シンプル2903,300円3,480円(290円×12)約6,780円
IIJmio データeSIM 2GB3,520円5,280円(440円×12)約8,800円

読み取れることは2つです。

  • 1年で解約するならpovo2.0が圧倒的に安い(メインがau系でなければ)
  • 2年目以降は月額の差が効いてくるので、長く持つなら月額の安いほうが有利

そして楽天モバイルは、月額だけ見れば高い一方、初期費用0円で4つ目の回線網が手に入るという他にない性質を持っています。

「安い回線」で災害時に何ができるのか

ここが、料金表だけでは分からない部分です。

サブ回線の役割は「メインが落ちたときに最低限の連絡を取ること」です。必要なのは動画を見る速度ではなく、安否を伝える手段です。その前提で、それぞれの回線でできることを整理します。

回線の状態現実的にできること
32kbps(マイそく スーパーライト/各社の低速状態)テキスト中心のやり取りが精一杯。読み込みに時間がかかる
300kbps(マイそく ライト)テキストと軽い画像のやり取り。地図の読み込みは重い
1GBの高速通信(日本通信・HISモバイル・IIJmio)通常の通信。ただし使い切ると低速になる
トッピング購入時(povo2.0・mineoの使い放題オプション)必要なときだけ通常速度にできる

ここから導ける実務的な結論は、「常時は最低限、必要なときだけ課金して速度を上げる」という設計がサブ回線には合っているということです。povo2.0のトッピングと、mineoの24時間データ使い放題(198円/回)は、どちらもこの形に当てはまります。

ただし注意点があります。災害の最中にトッピングを買う操作自体が難しくなる可能性があることです。アプリのログイン、決済、通信——どれもネットワークに依存します。購入手順とログイン情報は、平常時に確認しておいてください。

また、容量を使い切ったあとの低速状態で何が起きるかは災害時にデータ容量が尽きたら?にまとめています。

音声通話がつくかどうかは確認しておく

もうひとつ、月額の安さと引き換えに落ちやすいのが音声通話です。

  • IIJmioのデータeSIM(440円)、**データ専用SIM(740円)**は音声通話ができません
  • povo2.0の「データ専用」プランも同様に、音声通話を前提としたプランではありません

サブ回線に110番・119番の発信を期待するなら、音声通話つきのプランを選ぶ必要があります。詳しくは格安SIMでも110番・119番はかけられる?を参照してください。

災害用サブ回線としては、データ専用で安く持つよりも、音声通話つきで持っておくほうが選択肢が広いと考えています。

選び方:3つの質問で絞れる

質問1:メイン回線はどの回線網ですか?

  • ドコモ系(ドコモ・ahamo・irumo等) → povo2.0(au)/mineo AプランまたはSプラン/楽天モバイル
  • au系(au・UQ・povo) → mineo DプランまたはSプラン/HISモバイル/日本通信/楽天モバイル
  • ソフトバンク系(ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMO) → povo2.0/mineo DプランまたはAプラン/HISモバイル/日本通信/楽天モバイル
  • 楽天モバイル → povo2.0/mineo(3回線から選択)/HISモバイル/日本通信

質問2:維持の手間を許容できますか?

  • できる(180日ごとの購入を忘れない自信がある) → povo2.0
  • できない(放置しても止まらないほうがいい) → mineo/HISモバイル/日本通信の定額プラン

質問3:音声通話は必要ですか?

  • 必要 → 音声通話つきのプランを選ぶ
  • データだけでよい → IIJmioのデータeSIM(440円)が候補になる

契約する前のチェックリスト

  • メイン回線の回線元を確認した(回線元一覧
  • サブ回線がメインと別の回線網になっているか確認した
  • 端末がデュアルSIMに対応しているか確認した(iPhone / Pixel
  • eSIMで持つか物理SIMで持つかを決めた(比較
  • 音声通話が必要かどうかを決めた(緊急通報の可否
  • povo2.0を選ぶなら、180日ごとの購入をカレンダーに登録した
  • 契約先のアプリにログインできる状態にしてある

最後の項目が抜けやすいところです。回線を契約しただけでは備えになりません。契約直後に一度、実際に通信できることを確認しておくことをおすすめします。開通していないeSIMを「持っているつもり」でいるのが、いちばん危険な状態です。

まとめ

  • 月額の最安はpovo2.0(基本料0円、実質は年500円程度)。ただし180日ごとの課金が必要で、メインがau系だと備えにならない
  • 定額で放置したいなら、mineo マイそく スーパーライト250円/HISモバイル280円〜/日本通信290円
  • 回線元を選べるのはmineo(ドコモ/au/ソフトバンク)とIIJmio(ドコモ/au)。HISモバイルと日本通信はドコモ回線のみ
  • 楽天モバイルは月額1,078円〜と高めだが、4つ目の回線網という他にない価値がある
  • 初期費用3,300円前後を含めた1年目のコストで比べる
  • 32kbpsで何ができるかを理解したうえで、必要なときだけ課金して速度を上げる設計にする

サブ回線は「安く持つこと」自体が目的ではありません。メインが落ちた日に、実際に使えることが目的です。金額の差が数百円なら、回線元と音声通話の有無を優先して選ぶほうが、備えとしては合理的だと考えています。

回線を2本持ったうえで、実際につながらなくなったときに何をするかは通信障害かも?と思ったらまず確認すること災害時の連絡手段まとめにまとめています。


この記事の情報について:本記事は、povo2.0公式サイト「povo2.0とは?」およびトッピング一覧、mineo公式「料金表」「マイそく|料金表」、mineoユーザーサポート「mineoの初期費用を知りたい。」、日本通信SIM「合理的シンプル290プラン」「合理的シンプル290プラン詳細」、HISモバイル「自由自在2.0プラン」、IIJmio Q&A「ギガプランの月額料金を教えてください。【ギガプラン】」「ギガプランの申し込み時に初期費用はかかりますか?【ギガプラン】」、楽天モバイル「Rakuten最強プラン(料金プラン)」の各公式情報をもとに、2026年8月17日時点で確認した内容です。表内の「1年目合計」は各社公表の金額から編集部で計算した目安であり、実際の請求額を保証するものではありません。料金・提供条件・キャンペーンは変更される場合があります。 申し込み前に必ず各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。