日本通信SIMは、ドコモのネットワークを使う格安SIM(MVNO)です。月額290円の「合理的シンプル290プラン」があるため、災害用のサブ回線の候補として名前が挙がることも多い会社です。

ただ、災害対策として見ると、同じ日本通信SIMでも「合理的プラン(音声つき)」と「ネットだけプラン(データ専用)」で使える機能が大きく変わります。先に結論です。

  • JAPANローミング:合理的プラン(音声サービス)が対象。使えるのは緊急通報・音声・SMSで、データ通信は使えない
  • 110番・119番:合理的プランはかけられる。ネットだけプランはかけられない
  • ネットだけプラン:110番・119番、SMS、JAPANローミングのいずれも対象外。後から音声を付けることもできない
  • 緊急地震速報:利用できると案内。ただし非対応のAndroid機種がある
  • 安否確認:日本通信SIMはweb171(電話番号で登録)とGoogleパーソンファインダー(名前で登録)を案内している
  • 衛星通信:日本通信SIMとしての案内は確認できなかった

それぞれ、日本通信SIMの公式情報をもとに見ていきます。

この記事は特定のプランをすすめるものではありません。契約前に必ず日本通信SIMの公式サイトで最新の条件をご確認ください。

先に一覧で#

災害時の機能合理的プラン(音声つき)ネットだけプラン(データ専用)
110番・119番かけられるかけられない
JAPANローミング対象(緊急通報・音声・SMS)対象外
ローミング中のデータ通信使えない―
SMS(認証コードの受信など)使える使えない(受信もできない)
緊急地震速報利用できると案内(端末しだい)同左
LINEなどのデータ通信使える使える
回線網ドコモドコモ

※日本通信SIM公式の「災害時・緊急時対策」「JAPANローミング™に関するお知らせ」「ネットだけプラン」の各ページより(2026年10月3日時点)。

① JAPANローミング:音声とSMSは対象、データは使えない#

JAPANローミングは、契約している携帯会社のネットワークが大規模な災害や通信障害で使えなくなったとき、他社の設備に切り替えて通信を確保する仕組みです。制度全体と、令和8年熊本地震で実際に提供された内容はJAPANローミングは実際に発動したにまとめました。

日本通信SIMは「JAPANローミング™(非常時事業者間ローミング)に関するお知らせ」で、ドコモの音声サービスでJAPANローミングが提供されることに伴い、ドコモのネットワークを使う日本通信SIMでも利用できるようになると案内しています。

対象プラン#

対象対象外
合理的シンプル290プラン、合理的みんなのプラン、合理的50GBプラン、合理的かけほプランネットだけプラン

2つの方式と、使えるもの#

JAPANローミングには、障害の状況に応じてドコモが判断して提供する2つの方式があります。

緊急通報のみ方式フルローミング方式
緊急通報(110/119/118)可能可能
音声電話不可可能
SMS不可可能

そして日本通信SIMは、フルローミング方式が提供された場合でもデータ通信は利用できないと明記しています(2026年3月26日現在の表記)。他社の設備を借りている間は、電話とSMSは使えても、LINE・メール・地図アプリなどは使えない前提で考える必要があります。

利用料金は無料と案内されています。

いざというときの操作#

日本通信SIMの「JAPANローミング™のご利用方法について」では、方式ごとの手順が次のように案内されています。

  • フルローミング方式:自動で利用するネットワークが選ばれる。つながらない場合は、ネットワークを手動で選ぶ
  • 緊急通報のみ方式:ネットワークの「自動選択」をオフにし、手動で選ぶ

手動で選ぶときは、契約しているネットワーク(日本通信SIMならドコモ)以外を選びます。同じページに載っているネットワーク名は次のとおりです。

事業者表示されるネットワーク名
KDDI「KDDI」「KDDI_50」「44050」
ソフトバンク「SoftBank」「44020」
楽天モバイル「Rakuten」「44011」

手動で選んだ場合は、使い終わったら必ず「自動選択」をオンに戻すよう案内されています。戻し忘れると、JAPANローミングの提供が終わったあとに日本通信SIMの回線が使えなくなります。

端末とOSは自分で確認する#

日本通信SIMは、JAPANローミングを使うには端末も対応している必要があるとしたうえで、端末の対応状況は購入元またはメーカーに問い合わせるよう案内しています。日本通信ヘルプデスクでは、JAPANローミングへの対応についての質問には回答できないとも書かれています。

また、端末のOSやソフトウェアが最新でないと利用できない場合があるため、平常時にできる準備はOSの更新を後回しにしないことです。

② 110番・119番は「合理的プラン」ならかけられる#

日本通信SIMの「災害時・緊急時対策」ページでは、緊急通報(110番、119番通報など)は利用できると案内されています。

ただし、これは音声通話がある合理的プランの話です。ネットだけプランの公式ページにある比較表では、「110番や119番などの緊急通報」はできないとされています。

なお、合理的プランの通話は専用アプリを使わず、スマホの標準の「電話」からかける方式です(日本通信SIMは「通話専用アプリ(プレフィックス)」は不要と案内)。通話アプリ経由だと緊急通報ができない格安SIMもあるので、ここは安心できる点です。通話アプリとデータ専用SIMで起きる落とし穴は格安SIMで110番・119番はかけられる?で詳しく整理しています。

音声通話を使うには、端末がドコモのVoLTEに対応し、有効になっている必要があります。予備の古い端末を使う予定がある場合は災害用の予備スマホ、3G停波後も使える?もあわせて確認してください。

③ 「ネットだけプラン」をサブ回線にするときの注意#

ネットだけプランは、20GBまで月額1,200円で、1GB以下の月は119円と案内されているデータ専用プランです。維持費だけを見ればサブ回線向きに見えますが、災害対策としては使えない機能がはっきりあります。

公式ページで「できない」とされているもの:

  • 110番や119番などの緊急通報
  • 固定電話やフリーダイヤルへの電話
  • SMS認証コードの受信(SMSは受信もできない)

加えて、前述のとおりJAPANローミングの対象外です。さらに、ネットだけプランと合理的プランの間ではプラン変更ができず、ネットだけプランに音声通話やSMSを後から付けることもできない(新たに契約が必要)と案内されています。

SMSが受け取れないことで困る場面は、災害時に意外と多くあります。LINEも、日本通信SIMは「ネットだけプランはSMSが利用できないので、LINEの登録・利用開始はできない」と案内しています。詳しくは災害時に「SMS認証コードが届かない」とログインできないをご覧ください。

災害用のサブ回線として持つなら、音声つきの合理的プランを選ぶほうが、緊急通報・JAPANローミング・SMSの3つを確保できます。

④ 緊急地震速報:対応しているが、Androidは機種しだい#

日本通信SIMの「災害時・緊急時対策」ページでは、緊急地震速報は利用できると案内されています。設定の場所は次のとおりです。

  • iPhone:「設定」→「通知」の一番下にある「緊急速報」でオン/オフ
  • Android:「設定」→「アプリと通知」→「詳細設定」→「緊急速報メール」の一番上にある「緊急速報メールの許可」でオン/オフ

OSのバージョンや機種によって項目名が違う場合がある、とも書かれています。

注意したいのは、同じページに「Androidスマホの中には、緊急地震速報に対応していない機種がある」と明記されている点です。その場合の代わりとして、『Yahoo!防災速報』や『NHKニュース・防災』アプリのインストールが挙げられています。ただし、アプリはデータ通信が前提です。

受信の仕組みと格安SIMでの条件は格安SIMでも緊急速報メール(緊急地震速報)は受信できる?に、ミサイル情報(Jアラート)はJアラート(ミサイル情報)は格安SIMのスマホにも届く?にまとめています。

⑤ 安否確認は「web171」と「名前で登録」の2本立て#

日本通信SIMは独自の災害用伝言板を持っていません。「災害時・緊急時対策」ページでは、安否情報の連絡について、電話はつながりにくい場合があり、バッテリー節約のためにもメッセージを残せる方法をすすめています。案内されているのは次のサービスです。

目的日本通信SIMが案内しているサービス
安否を登録する(電話番号で)災害用伝言板(web171)
安否を登録する(名前で)Google パーソンファインダー
そのほかLINEなどのメッセージアプリ、SNS、メール

web171については、ドコモ等の災害用伝言板と連携していて、登録された安否情報を相互に確認できると説明されています。

なお、同じページでは安否情報をまとめて検索できるサービスとして「J-anpi 安否情報まとめて検索」も紹介されていますが、J-anpiはNTTが2023年に運営を終了したと発表しています。いざというときに探しに行かないよう、ブックマークしている場合は整理しておきましょう。web171と、声で残す災害用伝言ダイヤル(171)の使い方は災害用伝言ダイヤル(171)の使い方に、名前で探す方法は名前で安否を探す方法にまとめています。

家族の中に日本通信SIMを使っている人がいる場合は、「困ったらweb171」と決めておくと分かりやすくなります。家族で決めておきたいことは家族の安否確認ルールの決め方で整理しています。

⑥ 衛星通信:日本通信SIMとしての案内は見当たらない#

ドコモは2026年4月27日から「docomo Starlink Direct」を提供しています。ドコモ公式ページでの対象は「ドコモ回線をご契約中のお客さま」で、MVNO(日本通信SIMなど)の契約者が対象になるかについての記載は見当たりませんでした。日本通信SIMの公式サイトでも、衛星通信に関する案内は確認できませんでした。

そのため、日本通信SIMの回線だけで「圏外でも衛星でつながる」と考えるのは避けたほうが安全です。現時点で確認できる選択肢は次のとおりです。

⑦ 回線はドコモ網だけ:サブ回線として持つときの考え方#

日本通信SIMは、プラン詳細ページで「日本全国ドコモのエリアでご利用できます」と案内しているとおり、ドコモのネットワークだけを使います。

これは、サブ回線として持つときに大事なポイントです。メインがドコモ・ahamo・ドコモ系の格安SIMの場合、日本通信SIMを2本目にしても、ドコモ網に大規模な障害が起きたときは両方とも影響を受ける可能性があります。

メイン回線日本通信SIMをサブにする意味
au・UQ mobile・povo・ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMO・楽天モバイル回線網が分かれるので、備えになる
ドコモ・ahamo・ドコモ系の格安SIM回線網が同じなので、網の障害には備えにならない

自分のメイン回線がどの網なのかは格安SIMの「回線元」一覧で確認できます。

サブ回線としての費用#

合理的シンプル290プランは月額290円で1GB、超えた分は1GBあたり220円です。国内通話料は30秒11円で、eSIMとSIMカードのどちらも選べます。初期手数料はプラン詳細ページのスターターパックの説明に3,300円と書かれています。

データ使用量の上限を設定でき、上限に達すると低速の通信になります。マイページで上限を上げればすぐに反映される、と案内されています。災害時に容量が足りなくなったときは、マイページで上限を上げる操作を覚えておくとよいでしょう。容量の節約方法は災害時にデータ容量が尽きたら?にまとめています。

他社の最安プランとの年間費用の比較は災害用サブ回線は月いくらで維持できる?にまとめています。なお、「合理的かけほプラン」は新規申し込みの受付を終了しています(利用中の人は継続利用できると案内)。

⑧ 端末をなくしたら:マイページから「緊急一時中断」#

災害時にスマホをなくした場合、日本通信SIMは不正利用を防ぐためSIMの「緊急一時中断」をすすめています。

  • 別の端末(パソコンでも可)のブラウザ、または日本通信アプリからマイページにログインし、「各種お手続き」の「緊急一時中断」を押す
  • マイページにログインできない場合は、チャットまたは日本通信ヘルプデスクに、契約者名・中断したいSIMの電話番号・登録住所を伝える
  • 中断中も、月額基本料などの料金は発生する

見つからなかった場合のSIM再発行の手数料は、SIMカード3,300円、eSIMは1年に3回まで無料(4回目以降は1,100円)と案内されています。

ここで困るのは、マイページのログイン情報をなくした端末にしか保存していないケースです。ログインに使うIDやパスワードの控え方を含め、紛失時の手順は災害でスマホをなくしたら、まず回線を止めるで整理しています。予備の端末にSIMを差し替えたときに必要になる日本通信SIMのAPN設定は格安SIMの「APN設定」を災害前に控えておくに載せています。

今日できるチェックリスト#

  • 自分の日本通信SIMが合理的プランかネットだけプランかを確認する(ネットだけプランは110番・SMS・JAPANローミングが使えない)
  • サブ回線として持つなら、メイン回線がドコモ網以外か確認する
  • 端末のOSを最新にしておく(JAPANローミングの対応に関わる)
  • ネットワークの手動選択の場所を一度開いて確認しておく(使ったあとは自動選択に戻す)
  • 緊急地震速報の設定がオンか確認する。項目が見当たらないAndroid機種なら防災アプリを入れておく
  • マイページのログイン情報を、端末以外の場所にも控えておく(紛失時の緊急一時中断に必要)
  • 家族の安否確認は「web171」と決めておく

まとめ#

日本通信SIMはJAPANローミングの対象ですが、使えるのは緊急通報・音声・SMSで、データ通信は使えません。110番・119番はスマホ標準の電話アプリからかけられ、緊急地震速報にも対応していると案内されています。

一方で、ネットだけプランは110番・SMS・JAPANローミングのすべてが対象外で、後から音声を付けることもできません。日本通信SIMで備えるなら、「音声つきの合理的プランを選ぶ」ことと、「メインと別の回線網(ドコモ以外)と組み合わせる」こと——この2点が要点です。

同じくドコモ網を扱うIIJmioの災害時の扱いはIIJmioは災害時に強い?に、3つの回線網から選べるmineoはmineoは災害時に強い?にまとめています。