安否確認の手段として災害用伝言板(web171)を用意していても、インターネットにつながらなければ登録も確認もできません。基地局が停止したとき、スマホが壊れたとき、電池が切れて他人の電話を借りるとき——web171は手が出せなくなります。

そのときに残るのが、電話回線だけで使える「声の伝言板」、**災害用伝言ダイヤル(171)**です。

先に結論です。

  • 171は申し込み・契約が不要。契約先が大手でも格安SIMでも扱いは変わらない
  • ただし音声通話が必要なので、データ専用SIMからはかけられない
  • 登録できるのは被災地の電話番号だけ。被災地外の番号を入れるとガイダンスで断られる
  • 伝言は1件30秒以内・電話番号あたり最大20件、一度録音すると消せない
  • web171と相互に連携しており、171の伝言をweb171側で聞くこともできる
  • 体験利用日(毎月1日・15日ほか)に一度かけておく。次の防災週間は8月30日9:00から

順に見ていきます。

171は「格安SIMだから使えない」がない手段

携帯4社の災害用伝言板の使い方で書いたとおり、災害用伝言板は契約先によって自分の安否情報を登録できないことがあります(povo・UQモバイルは公式にweb171を案内しています)。

171にはこの問題がありません。NTT東日本のQ&Aには、次のように書かれています。

申し込み手続きや契約は必要ありません。「171」をダイヤルしていただくことで、ご利用が可能です。

利用できる電話としてNTT東日本が挙げているのは、加入電話、INSネット、公衆電話、ひかり電話、および災害時にNTTが避難所などに設置する災害時用公衆電話です。携帯電話・PHSについては「からも利用できますが、詳しくはお客様がご契約されている通信事業者へご確認をお願いします」という書き方になっています。

つまり、契約先が大手キャリアかMVNOかで171の扱いが分かれる、という構造にはなっていません。安否確認手段の中で、格安SIMユーザーが条件を気にせず使える数少ない選択肢です。

ただしデータ専用SIMからはかけられない

171は電話番号にかける音声通話です。したがって、音声通話ができないSIMからは利用できません

格安SIMで110番・119番はかけられる?でまとめたとおり、データ専用SIM・SMS機能付きSIMは音声発信そのものができないと各社が案内しています。171も同じ経路を使うため、災害用のサブ回線をデータ専用SIMで持っている場合、その回線からは171を使えないことになります。

サブ回線をデータ専用で契約している場合は、その回線ではweb171を使う、という切り分けになります。

使い方:171にかけたあとの操作

NTT東日本が案内しているガイダンスは次のとおりです。

① 171をダイヤルする

こちらは災害用伝言ダイヤルセンタです。録音される方は1(いち)、再生される方は2(に)、暗証番号を利用する録音は3(さん)、暗証番号を利用する再生は4(よん)をダイヤルして下さい。

押す番号動作
1伝言を録音する
2伝言を再生する
3暗証番号をつけて録音する
4暗証番号つきの伝言を再生する

② 電話番号を入力する

被災地の方はご自宅の電話番号、または連絡を取りたい被災地の方の電話番号を、市外局番からダイヤルして下さい。被災地以外の方は連絡を取りたい被災地の方の電話番号を、市外局番からダイヤルして下さい。

ここで入れるのは自分がかけている電話の番号ではなく、伝言を紐づける「キー」となる番号です。家族で1つ決めておく番号がこれにあたります。

③ 「1」を押して録音する

プッシュ式電話機の場合、番号入力のあとにもう一度「1」を押すと録音に進みます。

伝言をお預かりします。ピッという音のあとに30秒以内でお話下さい。お話が終わりましたら数字の9(きゅう)を押して下さい。

録音後は「8」で録音し直し、「9」で確定です。録音開始の合図音のあとに電話を切った場合でも、伝言は1件として登録されます(NTT東日本の記載)。慌てて切っても消えてはいません。

NTT東日本が例として挙げている伝言はこの形です。

よう子です。家族は皆無事で、中央小学校に避難しました。落ちついたら連絡します。

名前・状況・居場所・次の連絡予定で、30秒に収まります。当日に文面を考えないで済むよう、この型を家族で共有しておくのが実務的です。

知っておくべき制約は4つ

① 登録できるのは「被災地の電話番号」だけ

これが171でいちばん誤解されやすい点です。NTT東日本のQ&Aには、被災地以外の番号を入れた場合について次の記載があります。

伝言録音時に誤って被災地以外の電話番号を入力した場合、(中略)再度、171へ接続し正しい電話番号を入力することで伝言の録音ができます。

このとき流れるのは「被災地域以外の電話番号ではご利用できません。被災地の方の電話番号でご利用下さい。」というガイダンスです。

つまり、キーにする番号は被災エリア内のものである必要があります。遠方に住む親の番号を家族共通のキーに決めていると、自分が被災した側になったときに使えない可能性があります。伝言の録音・再生が可能なエリアは、起動時にテレビ・ラジオとNTTのホームページで知らされるとされています。

なお、かける側の場所は問いません。「伝言の録音、再生は全国どこからでもご利用可能です。ただし、海外からのご利用はできません」とQ&Aにあります。

② 30秒・20件・上書き・消去不可

項目条件
伝言録音時間1伝言あたり30秒以内
伝言蓄積数電話番号あたり1〜20伝言(提供時に案内される)
伝言保存期間171の運用期間終了まで(体験利用時は体験利用期間終了まで)
上限を超えたとき「登録可能件数を上回っているため、古い伝言に上書きして登録します。」というガイダンスが流れ、古い伝言から削除される
消去一度預かった伝言は消去できない(保存期間経過で自動消去)

蓄積数は固定の20件ではなく「1〜20伝言」と幅がある点に注意してください。NTT東日本は、提供開始・録音時間・保存期間などの運用条件は状況に応じて設定し、テレビ・ラジオ・公式ホームページで知らせると明記しています。大規模災害では条件が絞られる前提で考えたほうが安全です。

③ 平常時は使えない

171は、災害でふくそう(通信の混雑)が起きたときに提供が開始されるサービスです。

地震等の災害発生時に、被災地の方の安否を気遣う通話が増加し、被災地への通話がつながりにくい状況(ふくそう)になった場合、速やかにサービスを提供します。

そもそもなぜ電話がつながらなくなるのかは災害時に電話だけつながらないのはなぜ?で解説しています。171はその「電話がつながらない状態」を前提に用意された仕組みです。

④ 携帯からの通話料は各社に確認が必要

料金について、NTT東日本は次のように案内しています。

NTT東日本・NTT西日本の電話サービスから伝言の録音・再生をする場合の通話料は無料です。他通信事業者の電話、携帯電話やPHSから発信する場合、各通信事業者にお問い合せください。伝言録音等のセンタ利用料は無料です。

センタの利用料は無料ですが、携帯電話からかけたときの通話料はNTT側では決められません。避難所などに設置される災害時用公衆電話からの利用は無料と明記されています。

web171と相互に連携している

171(音声)とweb171(インターネット)は別サービスですが、中身は相互に見られます。NTT東日本の説明では次の2点が挙げられています。

  • 171に登録された伝言を、web171等で音声ファイルとして再生できる
  • web171等に登録された伝言(テキスト)を音声変換したうえで171で再生できる

これは実務上かなり重要です。家族の誰かがネットしか使えず、別の誰かが電話しか使えなくても、伝言はつながります。「うちはweb171に統一」と決めていても、電話しか手段がない人が171から同じ内容を聞ける、ということです。

web171側の条件(登録20件・保存期間最大6ヶ月)や、携帯4社の伝言板との関係は携帯4社の災害用伝言板の使い方にまとめています。

体験利用日に一度かけておく

171は災害時にしか起動しませんが、体験利用日が設定されています。

期間時間
毎月1日、15日00:00〜24:00
正月三が日1月1日00:00〜1月3日24:00
防災週間8月30日9:00〜9月5日17:00
防災とボランティア週間1月15日9:00〜1月21日17:00

体験利用時の条件は、伝言録音時間30秒・保存期間は体験利用期間終了まで・伝言蓄積数は電話番号あたり20伝言です。災害が発生した際には体験利用ができない場合がある、とも注記されています。

次の防災週間は8月30日9:00からです。web171の体験利用日と同じ日程なので、同じ日に両方試しておくと効率がよいと思います。

体験で確認しておきたいのは次の3点です。

  • 家族で決めた番号で録音・再生できるか(ガイダンスの速さに慣れる)
  • 30秒で言いたいことが収まるか
  • 暗証番号を使う場合、4桁の番号を家族全員が覚えているか

暗証番号は任意の数字4桁で、伝言ごとに個別に設定できます。「171へ接続後、『3』をダイヤルして伝言の録音を行う」「暗証番号付きで登録した伝言は、171へ接続後『4』をダイヤルすることで再生できます」とQ&Aにあります。忘れると再生できないので、覚えられないなら暗証番号なしで使うほうが確実です。

家族で決めておくのは「番号」と「型」

NTT東日本は、171の注意事項として次の点を挙げています。

災害用伝言ダイヤル(171)は、被災地の自宅などの固定電話や携帯電話・PHS、IP電話の番号で伝言の録音・再生を行います。家族・親戚・友人間でどの電話番号にするか予め決めておくことが大切です。

さらに、これまでの災害運用時には登録された伝言のほとんどが被災地外からの問い合わせで、被災地内からの発信が非常に少ないとも書かれています。大規模災害では伝言蓄積数が制限されることもあるため、被災地にいる人が自ら発信することが確実に安否を伝えることになる、という趣旨です。

ここから、事前に決めておくことは2つに絞れます。

① キーにする電話番号を1つ決める

自宅の固定電話番号か、家族の携帯番号のいずれか。固定電話の番号は市外局番から入力します。決めた番号は、スマホが使えない状況でも見られる形(紙のメモ、財布のカード)で持っておいてください。

② 「被災した側が先に録音する」と決めておく

全員が問い合わせ側に回ると、蓄積数を消費するだけで肝心の安否が入りません。被災地にいる人が先に30秒を1件入れる——これを家族のルールにしておくのが、NTTの指摘への実務的な答えになります。

番号と型以外にも、集合場所や会えないときの行動など事前に決めておくことがあります。全体は家族の安否確認ルールの決め方に6項目としてまとめました。

スマホ自体が使えないときは公衆電話から171を使えます。停電時の可否や機種ごとの操作は災害時の公衆電話の使い方にまとめました。安否確認以外の手段も含めた全体像は災害時の連絡手段まとめを参照してください。

回線をもう1本持っておく方法はpovo2.0を災害用のサブ回線に、そもそもスマホの電池を切らさない備えは災害用モバイルバッテリーの容量はどう選ぶ?にあります。

まとめ

  • 171は申し込み不要で、格安SIMでも大手でも扱いが変わらない安否確認手段
  • ただし音声通話が前提。データ専用SIMからはかけられない
  • 登録できるのは被災地の電話番号。キーにする番号の選び方に注意する
  • 1件30秒・最大20件・消去不可・古いものから上書き
  • web171と相互に連携しているので、電話派とネット派が混在しても伝言は届く
  • 体験利用日(毎月1日・15日ほか、次の防災週間は8月30日9:00から)に一度かけておく

災害用伝言板は「登録できるかどうか」を契約先ごとに調べる必要がありましたが、171にはその手間がありません。家族で番号を1つ決めて、30秒の型を共有しておく——事前にやることはそれだけです。


この記事の情報について:本記事は、NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)概要とご提供のしくみ」「災害用伝言ダイヤル(171)体験利用のご案内」「災害用伝言ダイヤル(171)ご利用方法」「災害用伝言ダイヤル(171)伝言の録音方法」「災害用伝言ダイヤル(171)Q&A」、NTT西日本「災害用伝言ダイヤル(171)」、IIJmio Q&A「IIJmioモバイルサービスのSIMカード・eSIMで『災害用伝言版』を利用できますか?【ギガプラン・mioモバイル】」の各公式情報をもとに、2026年8月11日時点で確認した内容です。171の提供開始条件・伝言録音時間・伝言蓄積数・保存期間などの運用条件は、災害の状況に応じてNTTが設定し、テレビ・ラジオ・各社公式ホームページを通じて案内されます。体験利用日程や提供条件は変更される場合があります。携帯電話からの発信にかかる通話料は契約先の通信事業者にご確認ください。緊急時は自治体・消防・警察等の公的な案内に従ってください。