災害時の家族連絡というとLINEが真っ先に挙がりますが、家族の中にLINEを使っていない人がいると、その人とは電話かSMSでやりとりすることになります。SMSは短い文章しか送れず、写真も送れません。その間を埋めるのが、携帯電話番号だけで使えるメッセージアプリ「+メッセージ(プラスメッセージ)」です。
では、格安SIMでも+メッセージは使えるのか。先に結論です。
- +メッセージはドコモ・au・ソフトバンクの3社が提供するアプリで、3社の回線を使う格安SIM(MVNO)でも利用できる
- ただしドコモ回線の格安SIMでは、SMS機能のないデータ通信専用SIMでは使えない。ソフトバンク回線の格安SIMはSMSが受信できる契約プランが必要
- やりとりはパケット通信。月額使用料は無料だが、データ通信は発生する。写真・動画は最大100MB、テキストは最大2,730文字(ソフトバンク公式)
- SMSにない強みは「長文・写真・位置情報を電話番号あてに送れる」こと。災害前に家族と一度やりとりして、相手も使える状態か確かめておくのが備えになる
順に見ていきます。
+メッセージとは:電話番号で送れる、SMSの「上位版」#
+メッセージは、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクの3社が共同で提供しているメッセージアプリです。ドコモは公式ページで、アカウント作成不要で、アプリをダウンロードするだけで始められると案内しています。相手の電話番号がわかれば送れるので、LINEのように友だち追加をする必要はありません。
SMSとの違いを、各社の公式情報で確認できた範囲で並べるとこうなります。
| 項目 | SMS | +メッセージ |
|---|---|---|
| 送れるもの | テキストのみ | テキスト・写真・動画・音声メッセージ・地図情報・スタンプ |
| 文字数 | 1通 全角670文字まで(ドコモ) | 全角2,730文字まで(au・ソフトバンク) |
| ファイル | 送れない | 写真・動画は最大100MBまで(ソフトバンク) |
| 料金 | 送信は1通3.3円〜(ドコモ・全角70文字まで)、受信は無料 | 月額使用料は無料。パケット通信料がかかる |
| 使う通信 | 携帯電話回線 | パケット通信(データ通信) |
SMSの料金は、ドコモの料金表で「1~70文字」が税込3.3円、最大の「604~670文字」が税込33円です。長文を送るほど高くなるSMSに対し、+メッセージはデータ通信の範囲で長文や写真を送れます。
災害時の連絡手段として考えると、「写真で被害状況を伝える」「地図で居場所を送る」「長めの状況説明を1通で送る」が電話番号あてにできる点が、SMSにない強みです。
格安SIMでも使える。ただし回線ごとに条件がある#
2021〜2022年に、3社の回線を使う格安SIMへ開放された#
+メッセージは当初、3社の自社契約者向けのサービスでした。KDDIは2021年9月2日のニュースリリースで、+メッセージの提供対象を「携帯3社すべてのブランドとMVNOに拡大」すると発表しています。発表時点の予定は次のとおりです。
| 回線 | MVNOでの対応時期 |
|---|---|
| au回線 | 2021年9月2日 |
| ドコモ回線 | 2021年9月下旬予定(ドコモの報道発表では2021年11月24日から利用可能) |
| ソフトバンク回線 | 2022年春予定 |
現在の各社の公式ページでも、対象は次のように書かれています。
- au:「au、UQ mobile、povo1.0/2.0、MVNO(au回線)」
- ソフトバンク:ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO、「MVNO(ソフトバンク回線)」
- ドコモ:「spモード契約またはahamo/irumo/ドコモ miniインターネット接続サービス契約が必要」。MVNO(ドコモ回線)については注意事項で利用時の条件が示されている(次項)
データ専用SIMでは使えないことがある#
ここが格安SIMユーザーにとっていちばん大事な点です。ドコモは+メッセージの注意事項で、次のように明記しています。
MVNO(ドコモ回線)をご利用の場合、SMS機能が付いていないデータ通信専用のSIMカード等では「+メッセージ」をご利用いただけません。
ソフトバンクも公式ページで、次のように案内しています。
MVNO(ソフトバンク回線)をご利用の方はSMSが受信できる契約プランが必要です。
つまり、データ通信は使えるのに+メッセージは使えない、という契約があります。災害用のサブ回線を安さ優先でデータ専用にしている場合、その回線では+メッセージを使えない前提で考えておくほうが安全です。
データ専用SIMではSMS認証コードも受け取れないという別の問題もあります。サブ回線をどの種類で持つかの考え方は災害時に「SMS認証コードが届かない」とログインできないにまとめました。
iPhoneとAndroidで使い勝手が違う#
+メッセージにはAndroid版とiOS版のアプリがあります。ただし、SMSとの統合のされ方が違います。
- Android:ソフトバンクは「スマートフォン(Android搭載機種)では、『+メッセージ』を使っていない相手にも、『+メッセージ』からSMS/MMSの送信ができます」と案内しています(MMSはソフトバンク・ワイモバイルの契約者のみ)。+メッセージ1つでSMSも扱えます
- iPhone:auは「iOSの場合は標準搭載のメッセージアプリでSMSをご利用ください」と案内しています。iPhoneでは+メッセージのアプリと、SMSを送る標準のメッセージアプリが別になります
また、iPhoneの標準メッセージアプリでは、SMSの後継規格であるRCSが携帯電話会社の対応によって使えるようになっています。Appleは、RCSを使うにはiOS 18に加えて「iPhoneのRCSに対応する、通信事業者が提供するテキストメッセージの送受信が可能なプラン」が必要だとしています。Appleの通信事業者の一覧(アジア太平洋、2026年5月20日公開)では、日本の事業者のうちauとSoftBankに「RCSメッセージのエンドツーエンドでの暗号化(ベータ版)」の記載があります。
iPhoneを使っている家族と連絡する場合、「相手が+メッセージのアプリを入れているか」「標準のメッセージアプリで送るのか」を、平常時にそろえておかないと、いざというときにどちらで送ればいいか迷います。
災害時に使うときの注意点#
パケット通信を使うので、データ容量とWi-Fi環境に左右される#
+メッセージはパケット通信でやりとりするサービスです。ドコモは「+メッセージのご利用にはパケット通信料がかかります」、auも「データ定額プラン未加入の場合、別途データ通信料がかかる場合があります」と案内しています。
災害時に携帯各社が音声通話とパケット通信を分けて制御している点は災害時に電話だけつながらないのはなぜ?で整理しましたが、パケット通信を使う以上、データ容量を使い切って速度制限がかかっていると、写真や動画の送受信には時間がかかると考えておくべきです。容量が尽きたときの対処は災害時にデータ容量が尽きたら?を参照してください。
Wi-Fi経由の送受信について、ドコモは注意事項で次のように書いています。
Wi-Fiを利用したメッセージ送受信においては、5060番台(5060-5069)のポート番号を使用しております。
通常のWebやアプリの通信とは別のポート番号を使う、ということです。施設や職場などのWi-Fiでこのポート番号の通信が制限されている場合は、Wi-Fi経由では送受信できない可能性があります。Wi-Fiだけで使える連絡手段の全体像は圏外でもWi-Fiがあれば連絡できる?にまとめています。
端末の空き容量が不足すると使えなくなる#
見落としやすいのが端末のストレージです。ドコモは注意事項で「端末のデータ容量が不足すると、+メッセージのご利用ができなくなります」と案内しています。写真や動画をやりとりすると容量を使うので、災害用の予備端末を含め、空き容量には余裕を持たせておいてください。
相手が+メッセージを使っていなければ、SMSの制約に戻る#
+メッセージの長文・写真の強みは、相手も+メッセージを使っている場合の話です。相手が使っていなければ、Androidでも送れるのはSMS/MMSで、SMSはテキストのみ・送信は有料です。家族の誰が+メッセージを使える状態か、事前に一度メッセージを送り合って確かめておくのが確実です。
2026年の変更点も確認しておく#
2026年には次の変更が公式に案内されています。古いまま使っている端末があれば、あわせて確認してください。
- ソフトバンク:「2026年5月7日(木)より、SoftBank サーバへのバックアップ機能の提供を順次終了」。アプリを更新したあとは、Google ドライブやiCloudへのバックアップを使う案内です
- ドコモ:2026年6月中旬以降、Android 7.1未満はサポート対象外になると案内されています
古いスマホを予備端末にする場合は、OSのバージョンでアプリが使えないことがあります。予備端末の選び方と保管は古いスマホを災害用の予備端末にするで扱っています。
災害時の連絡手段の中での位置づけ#
+メッセージは、LINE・SMS・災害用伝言板などと並ぶ手段のひとつです。役割を整理すると次のようになります。
| 手段 | 必要なもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| +メッセージ | 相手の電話番号・パケット通信・(格安SIMは)SMS対応の契約 | LINEを使わない家族に、写真や長文を送りたい |
| SMS | 相手の電話番号・携帯電話回線 | 相手の環境を問わず、短文を確実に送りたい |
| LINEなどのアプリ | アカウント・インターネット接続 | 普段から使っている相手との連絡 |
| 災害用伝言板・web171 | インターネット接続 | 相手と直接やりとりできないときに安否を残す |
どの手段を家族の「第一連絡手段」にするかは、手段をそろえるだけでは決まりません。決め方は家族の安否確認ルールの決め方、手段ごとの特徴は災害時の連絡手段まとめにまとめています。
今日やっておくチェックリスト#
- 自分の格安SIMがどの回線(ドコモ・au・ソフトバンク)か確認した(格安SIMの「回線元」一覧)
- 自分の契約がSMS付きか、データ専用か確認した
- +メッセージのアプリを入れ、最新版に更新した
- LINEを使っていない家族と、+メッセージで一度やりとりして、写真が届くか確かめた
- iPhoneの家族とは、+メッセージのアプリで送るのか、標準のメッセージアプリで送るのかを決めた
- 端末(予備端末も含む)の空き容量に余裕があるか確認した
まとめ#
- +メッセージは3社の回線を使う格安SIMでも利用できる(au回線は2021年9月、ドコモ回線は2021年11月から)
- ドコモ回線ではSMS機能のないデータ通信専用SIMでは使えない。ソフトバンク回線はSMSが受信できる契約が必要
- 長文(全角2,730文字)・写真や動画(最大100MB)・地図を電話番号あてに送れるのが、SMSにない強み
- やりとりはパケット通信。月額使用料は無料だがデータ通信は発生し、Wi-Fi経由では5060番台のポートを使う(ドコモ)
- iPhoneでは+メッセージとSMS(標準メッセージアプリ)が別。家族とどちらで送るかを決めておく
- 相手が使っていなければSMSの制約に戻るので、平常時に一度やりとりして確かめる
LINEを使う家族と使わない家族が混在しているなら、+メッセージは「電話番号しか知らない相手にも写真を送れる」手段として持っておく価値があります。ただし契約の種類で使えないことがあるので、まず自分の回線がSMS付きかどうかから確認してください。