災害時の安否確認というと、まず思い浮かぶのは携帯4社の災害用伝言板やweb171でしょう。ただ、格安SIMの場合、契約先によっては自分の安否を登録できないことがあります。
その点で見落とされがちなのが、SNSの安否確認機能です。アプリ側の機能なので、どの回線を契約しているかに関係なく動きます。
先に結論です。
- LINEの「安否確認」は、震度6以上などの大規模災害が発生したときに自動でバナーが出る。普段は表示されない
- 表示の判定は「LINEに登録した電話番号の国」。アプリはiOS/Android版12.2.0以降が必要
- 回答は[無事]か[被害あり]の2択+コメント。タップ数回で友だち全員に伝わる
- 一度表示された安否確認を自分で非表示にすることはできない(LINE公式が明記)
- Facebookにもセーフティチェックがあるが、どちらもネットにつながることが前提。伝言板や171の代わりではなく、併用するもの
- よく紹介されるX(旧Twitter)の「ライフライン」は公式ヘルプから消えており、@TwitterLifelineも表示できない。リスト保存を前提にした備えは組み直しが必要
順に見ていきます。
① 格安SIMだと「伝言板が使えない」ことがある#
携帯4社の災害用伝言板は、基本的にその会社の回線契約者向けのサービスです。格安SIM(MVNO)の場合、回線を借りている先の伝言板に自分の安否を登録できず、NTT東日本・西日本のweb171を案内されるケースがあります。詳しくは携帯4社の災害用伝言板の使い方にまとめました。
つまり格安SIMユーザーは、「安否を残す場所」を自分で決めておく必要がある立場です。web171を使うのが基本ですが、それとは別に、契約先に一切依存しない経路をもう1本持っておくと安心感が違います。
SNSの安否機能がその1本になります。LINEもFacebookもアプリ内の機能なので、povoでもmineoでも日本通信でも、条件は同じです。
② LINEの「安否確認」が出る条件#
LINEの「LINE安否確認」は、公式ガイドで次のように説明されています。
災害時、自分の安否を友だちに一括で知らせたり、友だちの安否を一覧で確認することができます
重要なのは、この機能は常に使えるわけではないという点です。公式が挙げている表示条件は次の3つです。
- 震度6以上などの大規模な災害が日本国内で発生したとき
- LINEの友だちが「安否を報告」しているとき
- 防災キャンペーンの一環で「体験版」が表示されているとき
さらにヘルプセンターでは、バナーの出方が2種類あると説明されています。
1番バナー:ご自身がLINEに登録した電話番号の国に災害が発生した場合
2番バナー:友だちがLINEに登録した電話番号の国に被害が発生し、友だちが安否状況の登録をした場合
判定に使われるのはLINEに登録した電話番号の国です。日本の番号でLINEを使っていることが前提になります。ここはデータ専用SIMだと引っかかりやすいポイントで、SMS認証コードが届かない問題とあわせて確認しておくといいでしょう。
利用条件として、アプリのバージョンはiOS/Android版12.2.0以降と案内されています。予備端末に入れた古いLINEでは動かない可能性があるので、予備スマホを用意している人は更新状況を見ておきましょう。
③ 自分の安否を知らせる手順#
公式ガイドの手順は次のとおりです。
- ホームタブ/トークタブ/友だちタブに表示される赤枠の「安否を報告」をタップ
- [無事]または[被害あり]を選ぶ
- 詳しい状況を伝えたい場合は文章を入力するか、候補の文章をタップ
- [公開]をタップ
友だちの安否を見る側は、トークタブまたは友だちタブ上部の「安否確認」から、友だちの安否とコメントを一覧で確認できます。
電話が輻輳でつながらない状況でも、データ通信が通っていれば数タップで済むのが利点です。一人ずつメッセージを送る必要がないので、通信量も時間も節約できます。
④ 知っておきたい仕様と注意点#
自分で非表示にできない
LINEヘルプには次の記載があります。
LINE安否確認をご自身で非表示にすることはできません
表示は「災害が落ち着いたタイミングで表示されなくなります」と説明されています。邪魔だからといって消せる類のものではない、と理解しておきましょう。
海外で災害が起きた場合
災害が国外で発生した場合は、バナーに現地語が表示される可能性があります
公開範囲
公式の説明では「自分の安否を友だちに一括で知らせる」機能とされています。LINEの友だちに向けた機能である点は明確ですが、細かい公開範囲の設定については公式ガイドに明示がありませんでした。
⑤ Facebookの「セーフティチェック」#
Facebookには2014年から安否確認機能があり、2017年に「災害支援ハブ」としてまとめられました。Metaの公式ヘルプでは次のように説明されています。
セーフティチェックがオンになると、その地域にいる利用者には、無事を報告するよう依頼するお知らせがFacebookから届く場合があります
仕組みとしては、世界各地の災害報告機関からの情報をもとに災害を検知し、その地域の利用者の投稿があると機能が有効になる、という流れです。利用者は通知から「無事」を報告したり、その地域にいる友達が報告済みかを確認できます。
LINEとの違いは、つながっている相手の層です。LINEは家族や身近な友人、Facebookは同級生や仕事関係を含む広い範囲になりやすいので、「LINEの友だちにいない相手に生存を知らせる」用途では役に立ちます。
⑥ X(旧Twitter)の「ライフライン」はもう当てにできない#
防災の記事でよく紹介されてきたのが、X(旧Twitter)の「Twitterライフライン(@TwitterLifeline)」です。47都道府県ごとのリストを保存しておけば、住んでいる地域の災害情報をタイムラインと分けて確認できる、という案内でした。
ただ、2026年9月時点でこの案内は追えません。確認した結果は次のとおりです。
- X公式ヘルプセンターで「ライフライン」を検索すると0件。英語で「lifeline」を検索しても0件
- かつての解説ページのURL(
help.twitter.com/ja/using-twitter/twitter-lifeline)は404。X移行後のURL(help.x.com/ja/using-x/x-lifeline)も404 - @TwitterLifeline と @XLifeline は、ログインしていない状態で開くと「このアカウントを表示できません」という404ページになる(同じ条件で内閣府防災 @CAO_BOUSAI は通常どおり表示されたので、閲覧側の問題ではありません)
つまり、ライフラインの47都道府県リストを前提にした備えは、いま組み直す必要があります。防災メモやブックマークに@TwitterLifelineのリストを入れている人は、確認しておいてください。
紛らわしいのは、2020年8月28日のTwitter Japan公式ブログが今も公開されたままで、ライフラインのリスト保存を勧めている点です。日付を見ないと現役の案内に見えてしまいます。
一方、現在のX公式ヘルプで災害に関係する記載として確認できたのは「いまどうしてる?」の説明です。
話題性が高く、公共の利益にかかわるイベント(COVID-19、選挙、自然災害など)に関して信頼できる高品質な情報が最重要である場合に、これらの情報がホームタイムラインに直接挿入されます
これは情報を受け取る側の機能で、LINEやFacebookのような「自分の安否を報告する機能」ではありません。Xを安否確認の柱にはできない、という整理になります。
では災害時のXに使い道がないのかというと、そうではありません。前述の2020年のブログには、いまでも通じる考え方が書かれています。
もし災害が起きた場合、どんな内容でもいいので、ツイートをしていれば、皆さんが「無事」であることのシグナルになります
専用機能がなくても、投稿すること自体が生存のシグナルになる、という発想です。あわせて同ブログでは、災害時にフォローしておくアカウントとして内閣府防災(@CAO_BOUSAI)、首相官邸 災害・危機管理情報(@Kantei_Saigai)、気象庁(@JMA_kishou)、総務省消防庁(@FDMA_JAPAN)、国土交通省(@MLIT_JAPAN)、東京都防災(@tokyo_bousai)が挙げられています。ライフラインのリストの代わりは、こうした公的機関のアカウントを自分でリスト化しておくことだと考えるのが現実的です。
なお、Xに流れてくる情報の扱いには別の注意が必要です。災害時のデマ・便乗詐欺もあわせて読んでください。
⑦ SNSの安否機能では埋まらない穴#
便利な一方で、前提条件は決して軽くありません。
圏外では使えない
SNSはインターネット接続が必要です。基地局が止まれば使えません。停電が長引くと基地局が止まるので、満充電でも圏外になることがあります。Wi-Fiがある場所でできること・できないことは圏外でもWi-Fiがあれば連絡できる?に整理しました。避難所などで開放される無料Wi-Fiを使う場合は、00000JAPANの安全な使い方も先に読んでおくと安心です。
電池が切れれば終わり
アプリを開ける状態を保つのが前提です。電池を長持ちさせる設定を事前に把握しておきましょう。
相手がその SNS を使っていないと届かない
家族全員がLINEでつながっているか、実家の親がFacebookを開くか。ここは事前に確認しないとわかりません。手段をそろえるより先に決めておくべきことは家族の安否確認ルールの決め方にまとめています。
タイムラインの情報は別物
安否機能と、SNSに流れる災害情報は分けて考える必要があります。救助要請の転載や募金の呼びかけには便乗詐欺も混ざります。災害時のデマ・便乗詐欺にスマホで引っかからないためにを参照してください。
⑧ 手段ごとの向き・不向き#
| 手段 | キー | 相手が使っていなくても届く | 通信が必要 |
|---|---|---|---|
| LINE安否確認 | LINEの友だち | ×(LINE同士のみ) | ○(データ通信) |
| Facebookセーフティチェック | Facebookの友達 | ×(Facebook同士のみ) | ○(データ通信) |
| 携帯4社の伝言板・web171 | 電話番号 | ○(番号を知っていれば誰でも) | ○(データ通信) |
| 災害用伝言ダイヤル171 | 電話番号 | ○ | 音声通話のみでよい |
| パーソンファインダー | 名前 | ○ | ○(データ通信) |
| X(旧Twitter) | 安否専用の機能はない | △(公開投稿は誰でも見られる) | ○(データ通信) |
SNSの弱点は「相手も同じサービスを使っている必要がある」点、伝言板の弱点は「電話番号がわからない相手には使えない」点です。性質が違うので、どちらかに寄せるのではなく、家族は SNS + 伝言板、番号のわからない相手はパーソンファインダーという役割分担で考えるのが現実的です。
位置情報の共有を併用すると、そもそも探す手間が減ります。災害前に家族と位置情報を共有しておくも参考にしてください。
⑨ 今日やっておくチェックリスト#
- LINEアプリを最新版に更新する(12.2.0以降で安否確認が使える)
- 家族・親族がLINEの友だちに入っているか確認する
- 予備端末のLINEやFacebookのバージョンも確認する
- 防災キャンペーンで体験版のバナーが出たら一度触って画面を確認する
- 自分の安否をどこに残すか(SNS/web171/契約先の伝言板)を家族で決める
- SNSが使えない前提の手段(171・公衆電話)も家族で共有する
- 防災メモやブックマークに@TwitterLifelineのリストが残っていないか確認し、残っていれば公的機関のアカウントで作り直す
まとめ#
- LINEの安否確認は震度6以上などの大規模災害時に自動表示され、普段は出ない
- 判定はLINEに登録した電話番号の国。アプリは12.2.0以降が必要
- [無事]/[被害あり]の2択+コメントで友だち全員に一括で伝わる
- 表示された安否確認は自分で非表示にできない
- Facebookのセーフティチェックは、LINEの友だちにいない相手に知らせる経路として使える
- どちらもネットと電池が前提。伝言板・171との併用が前提
- X(旧Twitter)の「ライフライン」は公式ヘルプで確認できず、@TwitterLifelineも表示できない。安否の柱にはできないが、投稿すること自体が無事のシグナルになる
格安SIMかどうかで差が出ないのが、SNSの安否機能の良いところです。回線の備えを増やす前に、家族の安否確認ルールの中に「SNSの安否機能を使う」と書き足しておくだけでも、当日の動きは変わります。