災害の備えとして、機種変更で余った古いスマホを「予備端末」として取ってある人は多いと思います。ところが2026年4月以降、その端末がSIMを挿しても通話できない、あるいはまったく圏外のままという可能性が出てきました。
2026年3月31日にNTTドコモが「FOMA」を終了したことで、日本の携帯3社の3Gはすべて終了したためです。3Gは長いあいだ「4Gがだめでも最後に残る電波」として機能してきましたが、もうその逃げ道はありません。
この記事では、公式情報をもとに「どの端末で何が使えなくなるのか」を整理し、予備端末を用意している人が今日確認しておくべき点をまとめます。
結論#
- 日本の携帯3社の3Gはすべて終了した。au 2022年3月31日、ソフトバンク 2024年4月15日、ドコモ 2026年3月31日
- 3Gのみ対応の端末は、通話・SMS・データ通信のすべてが使えない(mineoが×と明記)
- 見落としやすいのは「4G対応だがVoLTE非対応」の端末。ドコモは「音声通話がご利用いただけなくなります(4G・VoLTE非対応機種)」としている
- 格安SIM側でも同じ。mineoのDプランでは、VoLTE非対応端末は2026年4月1日以降「音声通話のみ利用不可」(SMSとデータ通信は継続利用可)
- ドコモは一部の4G機種について、2026年4月1日以降「輻輳時に緊急呼がつながりにくくなる場合がある」「セルフモード時に緊急通報(110、118、119)ができません」などの制限を案内している
- だから予備端末は、しまい込む前に「VoLTEがONか」「実際に発信できるか」を確かめる
日本の3Gは、これで全社終了した#
3社の終了日を公式発表で並べると次のようになります。
| 事業者 | 3Gサービス | 終了日 |
|---|---|---|
| au(KDDI・沖縄セルラー) | CDMA 1X WIN | 2022年3月31日 |
| ソフトバンク | 3Gサービス | 2024年4月15日(石川県のみ2024年7月31日) |
| NTTドコモ | FOMA・iモード | 2026年3月31日 |
ソフトバンクの終了日が石川県だけ遅いのは、令和6年能登半島地震の影響で4G/5Gへの移行手続きが難しくなった利用者の状況を踏まえ、当初予定の2024年1月31日から4月15日へ延期し、さらに石川県内に限って7月31日まで利用できるようにしたためです。
つまり、「災害時のために古い端末を残しておく」という発想そのものは正しくても、3G前提の端末はもう選択肢に入りません。
パターン1:3Gのみ対応の端末は、何もできない#
いわゆるガラケーや、2010年代前半の一部スマホがこれにあたります。
mineoはDプラン(ドコモ回線)について、3Gのみ対応端末で使えるサービスを次のように示しています。
- 音声通話:×
- SMS:×
- データ通信:×
電波をつかむ土台そのものがなくなったので、SIMを挿しても、APNを設定しても、結果は変わりません。この種の端末は予備端末としては引退させ、Wi-Fi接続のみで使える機器として位置づけるのが現実的です。SIMを挿さない古いスマホでもできることは古いスマホを災害用の予備端末にするに整理しました。
パターン2:4G対応でも「VoLTE非対応」だと通話ができない#
やっかいなのはこちらです。4G(LTE)でデータ通信はできるのに、通話だけができなくなる端末があります。
理由は、これまで4G端末の多くが「データ通信は4G、音声通話は3Gに落として発信する」という作りだったからです。3Gがなくなると、音声通話を4G上で行うVoLTEに対応していない端末は、通話の行き先を失います。
ドコモはFOMA終了の案内で、「音声通話がご利用いただけなくなります(4G・VoLTE非対応機種)」という区分を設け、例としてiPhone 5c(2013年9月20日発売)などを挙げています。
キャリア契約の場合、他社も同様の整理をしています。
- au:CDMA 1X WIN対応機種は2022年4月1日に自動解約、VoLTE非対応機を利用中の場合は自動休止に移行すると案内していました
- ソフトバンク:3G専用の料金プラン契約のほか、「4G/5Gサービスに対応している料金プランであっても、VoLTEサービスを利用できない契約」を自動解約の対象としていました
「4Gと書いてあるから大丈夫」とは言い切れない、ということです。手元の端末が該当するかどうかは、契約先が公開している対象機種一覧で確認してください。
格安SIMでも結果は同じ(ただし見え方が違う)#
MVNOは大手3社の回線網を借りて提供しているため、回線元の3Gが終われば、格安SIMでも3Gは使えません。格安SIMの「回線元」一覧で整理したとおり、どの回線を借りているかがそのまま影響します。
IIJmioは、ドコモ網を使うサービスについて「2026年4月1日(水)以降は3Gでの音声通話およびデータ通信はご利用になれません」と案内し、利用者への対応として次を挙げています。
- 音声通話を使う場合、「VoLTE」(または「4G回線による通話」)がONになっているか確認する
- iPhone・iPadは「設定」→「モバイル通信」で、3Gではなく「5Gオート」「5Gオン」「4G」を選択する
- Androidは「優先ネットワーク」が3Gに固定されていたら、5Gや4Gに変更する
mineoはDプランについて、VoLTE非対応端末は2026年3月31日まで利用でき、4月1日以降は「音声通話のみ利用不可」で、SMSとデータ通信は継続して利用できるとしています。
ここが大手キャリアとの見え方の違いです。キャリア契約では自動解約や自動休止という形で「使えなくなったこと」が契約に表れますが、格安SIMではデータ通信もSMSも動いたままなので、通話ができないことに気づきにくいという状況が起こり得ます。予備端末をしまい込んだままにしていると、必要になった当日に初めて分かることになります。
ドコモが案内している「一部4G機種」の制限#
ドコモはFOMA終了にあわせて、一部の4G機種について2026年4月1日以降に生じる制限を公表しています。防災の観点で押さえておきたいのは次の2点です。
ネットワーク故障や輻輳時に緊急呼がつながりにくくなる場合があります
セルフモード時に緊急通報(110、118、119)ができません
「セルフモード」は機内モードにあたる状態です。電池を節約しようと機内モードにしていると、そこから緊急通報ができない機種がある、という意味になります。災害時にバッテリーを持たせる工夫としての機内モードは有効ですが、対象機種ではその点を知っておく必要があります。省電力設定で止まる機能は災害時にスマホの電池を長持ちさせる設定にまとめました。
ドコモはこのほか、対象機種に対して2025年12月25日から発信前に音声ガイダンスを流す運用を始めており、ガイダンスでは「2026年4月1日からご利用中の電話機は通信混雑時に110番などの緊急通報がつながりにくくなりますので機種変更のお手続きをお願いします」と案内しています。心当たりのあるガイダンスを聞いたことがあるなら、その端末は対象です。
災害時に電話がつながりにくくなる仕組みそのものは災害時に電話だけつながらないのはなぜ?、格安SIMでの緊急通報の可否は格安SIMで110番・119番はかけられる?で解説しています。
停波の余波:一部iPhoneで4G接続に時間がかかることがある#
もうひとつ、IIJmioが公表している事象があります。対象はiPhone 16e、iPhone Air、iPhone 17e、およびiOS26以降のすべてのiPhoneです。
- 2026年4月1日以降、端末を再起動した直後など特定の条件で、4G(LTE)の接続に1〜2分程度かかる可能性がある
- 機内モードのON/OFF切替を行うことで速やかに接続できる可能性がある、または再起動後1〜2分ほど待てば接続できる
新しい端末でも起こり得る話で、しかも「再起動直後」という条件が災害時と重なりやすいのが厄介です。再起動して1分つながらなくても、すぐに故障や障害と決めつけない——この知識があるだけで、慌てて余計な操作をせずに済みます。障害かどうかの切り分け手順は通信障害かも?と思ったらまず確認することにまとめました。
予備端末を持つなら、今日確認する3点#
1. VoLTEがONになっているか#
iPhoneは「設定」→「モバイル通信」→回線名→「音声通話とデータ」で4G以上が選ばれているか。Androidは機種により「VoLTE」「4G回線による通話」といった項目名です。IIJmioは、VoLTE設定がOFFになっていると通話できないとして、ONへの変更を案内しています。ドコモも一部4G機種の制限として「VoLTEをONに変更することで回復する」ケースを挙げています。
2. 優先ネットワークが3Gに固定されていないか#
古い端末は「電池を持たせるため」に3G固定へ変更されたままのことがあります。3Gがない以上、この設定は圏外を意味します。5G/4Gが選ばれているかを確認してください。
3. しまう前に、実際に発信とデータ通信を試す#
いちばん確実な確認方法です。予備端末に自分のSIMを挿し、通話が発信できるか/Wi-Fiを切った状態でWebページが開くかを確かめます。SIMの差し替え時に見落としやすい点は予備のスマホに自分のSIMを挿して使える?に、データ通信だけつながらない場合の原因は格安SIMの「APN設定」を災害前に控えておくにまとめてあります。
今日できることチェックリスト#
- 予備端末が3Gのみ対応でないか確認した(該当するならWi-Fi専用機として扱う)
- 予備端末がVoLTEに対応しているか、契約先の対象機種一覧で確認した
- 予備端末のVoLTE設定がONになっている
- 優先ネットワークが3G固定になっていない
- 実際にSIMを挿して、発信とデータ通信ができるところまで確認した
- 発信時にドコモの音声ガイダンスが流れる端末でないか確認した
- メイン端末が対象機種の場合、機内モード中の緊急通報の可否を把握している
まとめ#
- 2026年3月31日のドコモFOMA終了で、日本の携帯3社の3Gはすべて終了した
- 3Gのみ対応端末は通話・SMS・データ通信のすべてが不可。予備端末としては使えない
- 4G対応でもVoLTE非対応なら音声通話ができない。ドコモが明示している区分で、auとソフトバンクも同様に整理していた
- 格安SIMではデータ通信とSMSが動くぶん、通話できないことに気づきにくい(mineoのDプランは4月1日以降「音声通話のみ利用不可」)
- ドコモは一部4G機種について、輻輳時に緊急呼がつながりにくい・セルフモード時に緊急通報ができないといった制限を案内している
予備端末は「持っていること」ではなく「そのとき動くこと」に意味があります。しまい込む前に一度電源を入れて発信してみる——それだけで、この記事のほとんどは確認できます。通信手段全体の備えは災害時の連絡手段まとめに整理しました。