スマホが衛星と直接つながるサービスは、2026年にドコモ・au・ソフトバンクがそろって提供するようになりました。ただし現在のサービスには大きな制約があります。音声通話ができず、110番・119番に電話をかけることもできないという点です。
この制約について、2026年8〜9月に動きがありました。KDDIとドコモが、次世代の衛星「Starlink Mobile V2」を使って音声通話と高速データ通信を提供する計画を発表したのです。先に結論です。
- KDDIは2027年内、ドコモは2028年度中に、衛星経由の音声通話・高速データ通信の提供開始を目指すと発表
- どちらも予定の段階。料金・対応機種・緊急通報の扱いは発表されていない
- 今の衛星通信では音声通話も110番もできない。それを前提にした備えは今も必要
順に見ていきます。
いまの衛星通信でできること・できないこと#
現在提供されている各社の衛星通信(docomo Starlink Direct/au Starlink Direct/SoftBank Starlink Direct)は、テキストメッセージと一部アプリのデータ通信が中心です。
| できること(各社共通の範囲) | できないこと |
|---|---|
| テキストメッセージの送受信 | 音声通話 |
| 位置情報の共有 | 110番・119番への電話 |
| 対応アプリでのデータ通信(各社で範囲が異なる) | 動画など大容量の通信 |
ソフトバンクの公式ページには「通話および緊急通報は利用不可」、auの公式FAQには「衛星モードでは、緊急SOS(電話発信)/緊急SOSメッセージや緊急通報は対応しておりません」と明記されています。各社の料金や対象プランの違いはLINEの衛星モードは格安SIMで使える?にまとめています。
KDDIの発表:2027年内の提供開始を目指す#
KDDIは2026年9月15日、SpaceXと次世代衛星「Starlink Mobile V2」のサービス提供契約を締結したと発表しました。KDDIは「アジア初」としています。
発表のポイントは次のとおりです。
- 次世代衛星は、第1世代と比べて衛星1基あたり約20倍のスループット
- 高速データ通信と音声通話の2027年内提供開始へ(発表の見出し)
- 圏外エリアで、従来のメッセージ送受信や対応アプリでのデータ通信に加え、日常的な利用に耐える通信をめざす
出典:KDDI|アジア初、次世代衛星「Starlink Mobile V2」契約を締結
「2027年内」は提供開始の目標であって、確定した開始日ではありません。料金や対応機種についての記載もありません。
ドコモの発表:2028年度中の提供開始を予定#
ドコモはそれより前の2026年8月14日、「Starlinkと『docomo Starlink Direct』の機能拡充に向け『Starlink Mobile V2』の契約に合意」と発表しています。発表には次のように記載されています。
音声通話、ブラウジングなど高速インターネット、およびIoTデバイスとの直接通信サービスについて、2028年度中の提供開始を予定しています
出典:NTTドコモ|Starlinkと「docomo Starlink Direct」の機能拡充に向け「Starlink Mobile V2」の契約に合意
2028年度は2028年4月〜2029年3月です。KDDIの目標(2027年内)より後ろの時期になります。
ソフトバンク・楽天モバイルは?#
ソフトバンクについては、2026年10月1日時点で、Starlink Mobile V2による音声通話の提供計画をソフトバンクの公式ニュースリリースで確認できていません。現行のSoftBank Starlink Directは、2026年9月28日から海外でも使えるようになりましたが、音声通話と緊急通報は引き続き利用できないとされています(スマホの衛星通信は海外でも使える?)。
楽天モバイルは、Starlinkではなく米AST SpaceMobile社と組んだ「Rakuten最強衛星サービス」で、音声通話・ビデオ通話を含むサービスを2026年第4四半期に始めることを目指すと2025年4月に発表しています。ただし2026年10月1日時点でも、開始日・料金・対応機種の続報は出ていません(楽天モバイルの衛星サービスはどうなる?)。
| 事業者 | 衛星経由の音声通話の予定 | 状況 |
|---|---|---|
| KDDI(au) | 2027年内の提供開始を目指す | 2026年9月15日発表 |
| NTTドコモ | 2028年度中の提供開始を予定 | 2026年8月14日発表 |
| ソフトバンク | 公式発表を確認できていない | — |
| 楽天モバイル | 2026年第4四半期の開始を目指す(AST SpaceMobile) | 2025年4月23日発表以降、続報なし |
まだ決まっていないこと#
発表された計画について、現時点で公式に示されていないことも多くあります。
- 料金(今の衛星通信と同じく追加料金なしになるのか)
- 対応機種(今使っている機種で使えるのか、新しい機種が必要なのか)
- 緊急通報(110番・119番)に電話できるようになるのか
- 格安SIM(MVNO)や他社回線の利用者が対象になるのか
とくに緊急通報については、「音声通話ができる=110番に電話できる」とは限りません。緊急通報には位置情報の通知や呼び返しといった仕組みが求められるためです。この点は続報を待つ必要があります。
いま備えとしてどう考えるか#
予定が発表されたとはいえ、最も早いKDDIでも2027年内の目標です。それまでのあいだに災害や遭難が起きないとは限りません。今の時点でできる備えは、これまでと変わりません。
- 圏外での救助要請:auなら対応アプリから使えるau Starlink Direct SOS、iPhone 14以降ならAppleの衛星経由の緊急SOS
- 回線の障害への備え:別の回線網のサブ回線(povo2.0を災害用のサブ回線にする方法)と、他社の電波を借りるJAPANローミング(JAPANローミングは実際に発動した)
- 安否確認:web171などの伝言板と家族のルール(災害時の連絡手段まとめ)
衛星で音声通話が必要な業務や活動がある場合、現時点で音声通話ができるのは専用の衛星電話です(衛星電話は個人でも契約できる?)。
まとめ#
- 今のスマホの衛星通信はテキスト中心で、音声通話も110番もできない
- KDDIは2027年内、ドコモは2028年度中に、次世代衛星「Starlink Mobile V2」で音声通話・高速データ通信の提供開始を目指すと発表
- 料金・対応機種・緊急通報の扱いは未発表。予定は変わる可能性がある
- 実現を待つより、今使える手段で備えを固めておくほうが確実
続報が出た時点で、この記事も更新する予定です。